子供の頃から目が悪かったわけではない。
20代の後半頃だったろうか、視力が落ちてきてメガネを作ることを決心し、眼鏡屋へ行って視力を測るのだが…。
「じゃあ、好みのフレームを選んでください」
そう言われ、視力測定の後どのメガネにしようかと好みの形のモノを鏡の前で取っ替え引っ替えかけてみるのだが、ここで問題が発生する。
どれも似合わない。
「帰りたい…」
けれど視力も測ったし、このまま逃げ出すわけにもいかない。悩んだ挙句選んだのが当時ちょっと流行っていたリムレスの眼鏡
パリミキさんのホームページから
フレームがないので違和感がない。まさに苦渋の選択、苦肉の策である。
今までメガネをかけていなかったので違和感なく顔に馴染む。ただ、オシャレ感は…。といっらわけで満足度は低かった。
それから数年後、職場で雑誌を広げていた俺はある眼鏡を見つけてしまうのである。
「カッコイイ!こんな眼鏡あるのか」「これに決めた!」
仕事が終わり、急いで丸井へ向かう。ちょっと高いけど『赤いカード』さえあれば鬼に金棒である。
で、実物と遭遇する。「カッコイイ!」
さすがマックイーンだ(デザイナー、アレクサンダーマックイーンの事)これしかないだろ。
もうリムレスともおさらばだぜ。
と思い、鏡の前でにやけながらマックイーンの眼鏡をかける俺
そして光の速さで襲ってくる絶望…。
「似合わない」
こんなはずじゃなかった。せっかく急いでやって来たのに。
無言でマックイーンに別れを告げ丸井を後にした。俺はこの先ずっと死ぬまでリムレスの眼鏡で生きていくのか…。
その数年後、フレームの幅と、眼の位置の関係などを眼鏡店の店員さんに説明されなんとか自分に似合う眼鏡というものが少し理解出来た。だがそれでも新しい眼鏡を選ぶとき、どうしても型優先で似合いそうにないものを選んでしまう。
多分そこには憧れみたいなものがあるのだと思う。
「こういうのが似合ったらイイのに」「こういうのが似合う人になりたい」
まぁ無い物ねだりなわけだが。
ヘアスタイルも結構そういうのありますよね。
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